内容証明郵便|時効援用通知書の文例
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2021/09/05
blog:内容証明郵便
設例
平成23年5月某日、山田太郎さんは、同僚の鈴木一郎さんから3万円を借りました。その際、返済期日は同年8月31日と定めています。2か月後、鈴木一郎さんの転職を機に疎遠になり、お互いにお金の貸し借りがあったことは忘れていました。 令和3年9月5日、唐突に鈴木一郎さんから内容証明郵便が送られてきました。貸した3万円に10年分の遅延損害金を付けて一括で支払えとのこと。山田太郎さんは「もう昔の話なので消滅時効を主張して支払いを拒否したい」と考えています。 |
※平成23年=2011年
※遅延損害金の利率を仮に3%とすると、設例の場合、遅延損害金は約9000円になります。
[設例の解説]
- 消滅時効は、時の経過により自動的に発生するわけではありません。消滅時効の効果を発生させるには、自分で主張する必要があります。これを「時効の援用(民法145条)」と言います。時効の援用については⇒blog:時効完成を主張する
- 改正された民法166条1項は、債権の消滅時効期間について「権利を行使できることを知った時から5年間」「権利を行使できるときから10年間」としていますが、改正民法が適用されるのは令和2年4月1日以降に発生した債権です。設例では平成23年にお金を借りているので、旧民法が適用され、10年の消滅時効にかかります。
- 設例では返済期限を平成23年8月31日としており、10年が経過した令和3年9月1日には時効が成立しています。また、「2か月後、鈴木一郎の転職を機に疎遠になり、お互いにお金の貸し借りがあったことを忘れて」いるので、時効完成の障害となる事由はありません。
時効完成の障害事由(猶予と更新)については⇒blog:時効完成を阻止する
[時効援用通知書作成のポイント]
- 時効援用通知書は、請求を受けた場合の反論として送るケースと相手から請求を受ける前に送るケースがあります。設例では、請求に対して回答するかたちになっています(表題は「回答書」としました)。
- 請求を受ける前に送る場合、時効が完成しているかを慎重に確認してください。時効が完成していないのに援用通知書を送ってしまうと、相手に時効の完成猶予・更新のきっかけを与えてしまいます。
- 時効の援用は口頭でもできますが、証拠を残すために内容証明を用いるのが一般的です。口頭で伝えてしまうと、思わず「債務の承認」をしてしまい、時効の援用ができなくなる恐れがあります。「債務の承認」については⇒blog:時効完成を阻止する
- 時効援用通知書に必ず記載すべき事項は、①時効援用の日付、②消滅する債権を特定する情報、③消滅時効を援用する旨の記載です。
①時効援用の日付 内容証明には必ず日付を入れるので、この日が時効援用の日付になります。 この日付は、必ず時効完成後の日付になります。 ②消滅する債権を特定する情報 消費者金融からの借入れなどで明細が残っている場合には、その情報を正確に転記します。明細等がない場合でも可能な限り特定します。返済期日など時効の起算点を決める情報及びそれから必要な時効期間が経過している旨の記載は必須です。 ③消滅時効を援用する旨の記載 明確に「消滅時効を援用します」と記載します。 |
文例
[1行20文字、1ページ26行、wordでの作成画面です。グリッド線を表示しています。]
内容証明郵便|時効援用通知書の文例
茨城県稲敷郡阿見町の金田一行政書士事務所
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