建設業許可|専任技術者は現場に行けない?【例外もあります。】
2022.9.10 更新
専任技術者は原則として現場に出ることができません。
営業所で事業全体の技術面の監理をするのが専任技術者の役割だからです。
しかし、腕のある人が現場で力を発揮できないのはもったいない。
人手不足の解消という面からも不都合です。
このような事情を考慮して、一定の例外が認められています。
ルールをよく把握して、上手く運用してください。
目次 1.そもそも「専任」とは 2.客観的に専任性が認められない場合 ①具体例 ②他社の代表取締役就任については例外あり 3.技術者は少なくとも2名必要(原則) 4.専任の例外(専任義務の緩和) 5.主任技術者・監理技術者との兼任は原則不可 |
1.そもそも「専任」とは
「専任」とは、常勤で営業所での業務に従事することです。
原則として、現場で作業・施工管理の担当になることはできせん。
営業所にて、見積の作成・契約の締結・注文者との技術的なやり取りなどをすることが職務となります。
2.客観的に専任性が認められない場合
現場に行く行かないとは別の問題ですが、雇用形態などの客観的状況から、専任性を満たせないと判断される場合があります。
①客観的に専任性が認められない場合の具体例
- 住まいと営業所が遠距離にあり、常識的に考えて通勤ができない。
- 他の建設業者や他の営業所の専任技術者になっている。
- 他の業種で、法令による専任義務の有る役職に就いている(同一営業所内での兼務は可)。
- 他社の代表取締役になっている。
- 個人事業を独自に営んでいる。
- 他の事業所でパート・アルバイト、契約社員等になっている。
②他社の代表取締役就任の例外
一般論として、代表取締役は会社のトップとして激務をこなしています。他の業務と掛け持ちすることは困難です。ただし、会社経営に実質的に関わっていないことを証明できれば、専任技術者になることができます。
会社経営に実質的に関わっていない代表取締役?
あまり居ないと思いますが、具体的な基準は以下の通りです。
[具体的な基準](令和4年7月1日以降版:茨城県版の手引きより)
以下の要件を満たす場合に限り、他社の代表取締役であっても専任技術者になることができます(ⅰ,ⅱについてはいずれか、ⅲ,ⅳについてはいずれも満たしている必要があります。
- 代表取締役を務める他の法人が、事実上営業を行っていないと判断できる場合。
- 代表取締役を務める他の法人が、他の役員が事実上経営を行っていることが明らかな場合であって、代表取締役として無報酬である場合
- 代表取締役を務める法人で、建設業法や他の法令等で専任性のある役職についていない場合(国会議員及び地方公共団体の議員は常勤性の観点から常勤役員等および専任技技術者にはなれません。)
- 社会保険の加入状況等により、常勤役員等または専任技術者になっている法人での常勤性が確実な場合
なお、別の会社で社会保険に加入すると、建設業許可を取得している会社での常勤性確認ができなくなります。隣接でも同一所在地でも常勤性を認めてもらえません。
複数の会社を経営している方は、ご注意ください。
3.技術者は少なくとも2名必要(原則)
許可申請上必要な技術者は、専任技術者としての1名のみです。
しかし、専任技術者が現場に出られない以上、技術者は営業所と現場でそれぞれに必要です。技術者がもう1名在籍していなければ、運用ができません。
初めから「技術者2名以上」を許可の要件にすればいいのに・・・と考えてしまいそうですが、下記の例外があるので許可要件になっていません。
4.専任の例外(専任義務の緩和)
一定の条件下で専任義務が緩和されています。
営業所から近く、民間・小規模の現場であれば、条件をみたし易いです。
詳しくは以下の通りです。
[専任義務緩和の条件]
- 当該営業所において請負契約が締結された建設工事であること
- 工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡を取りうる体制にあること
- 当該工事が主任技術者等の現場への専任が必要となる工事で請負金額が3500万円以上(建築一式は7000万円以上)でないこと
条件2の「工事現場と営業所が近接」について 同一市町村内または10㎞以内が一応の目安になります(明確な基準はありません)。 |
条件3の「現場への専任が必要になる工事」とは 公共性のある工作物に関する重要な工事のことです。「公共性」とは、公共工事のことではなく、多くの人の生活にかかわる工事を意味します。したがって、個人住宅の建築を除くほとんどの工事が「現場への専任が必要になる工事」に該当します。 |
上記の条件をみたせば、専任技術者も現場に行くことができますが・・・
条件3が厳しい。実態に即してもう少し緩和してもよさそうですが、そうなると判断基準が複雑になりすぎます。事実上、個人住宅の建築でしか緩和されていません。
5.主任技術者・監理技術者との兼任は原則不可
上記の専任義務の緩和条件「3.」にあるように、主任技術者・監理技術者には、現場での専任義務が課されることがあります。
専任技術者が主任(監理)技術者を兼務するには、専任技術者としての専任義務、主任(監理)技術者としての専任義務、その双方の緩和条件をクリアしている必要があります。
現場専任義務が課される場面は多く、兼務ができる場面は限られます。
営業所から近く、民間・小規模の現場であれば主任技術者との兼務は可能です。
監理技術者との兼務は、金額の条件をクリアできないので事実上不可能です。
参照
事業を立ち上げたばかりだと、社長さんが経営管理者、専任技術者を兼任し、現場にも行きながら会社を切り盛りしていることが多いです。
事業の規模が大きくなってくると、上記の例外に該当しなくなってきます。
早い段階で人材を確保しておいてください。
建設業許可|専任技術者は現場に行けない?
茨城県稲敷郡阿見町の金田一行政書士事務所
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