建設業許可|10年以上の実務経験の数え方【茨城県版】
2022. 9.9 更新
「10年以上の実務経験」があると、経験を積んだ業種の専任技術者になることができます。
資格を持ってない、合格発表を待っている時間がない。そんな場合に検討したい手段です。
ただし、“10年以上この会社に勤めている”では実務経験の証明にはなりません。
ちょっと面倒な「10年以上」の数え方を解説します。
各都道府県によって取扱いが異なります。茨城県版としてご理解ください。
目次 1.実務経験とは 2.経験年数の数え方【具体例】 3.複数業種の実務経験(12年以上の実務経験) 4.確認資料の提出が必要になる場合 5.実務経験では専任技術者になれない業種 |
1.「実務経験」とは
実務経験といっても、その内容は様々です。
カウントできる「実務経験」の内容は限定されています。
工事現場の単なる雑務、事務仕事は「実務経験」になりません。
該当する経験内容は、以下の通りです。
・工事の施工を指揮・監督した経験
・工事の施工に携わった経験
・設計に従事した経験
・現場監督としての経験
・現場技術者としての経験
「実務経験証明書」に記載する当時の役職が、現場監督・現場主任・現場技術者・工事部長といった役職であれば、該当する経験を積んだと判断してもらえます。
2.経験年数の数え方(茨城県版)
これまでに関わった工事の期間を、ひとつひとつ、10年間=120カ月になるまで合計していきます。(数え間違いに備え、2,3か月分余計に記載してください。)
気の遠くなる作業に思えますが、その月に1日でも工事に関わった期間があれば1ヵ月の経験としてカウントできます。そこまで面倒ではありません。(10年以上前の記録を引っ張り出すので、そこは面倒ですが)
►数え方の具体例(1年分のみ抜粋)
10年以上の実務経験で「とび・土工・コンクリート工事」の専任技術者になる場合
工事名 | 着工 | 完成 | 経験した月 | カウント数 |
〇〇地盤改良工事 | 1月10日 | 2月5日 | 1月,2月 | 2か月 |
〇〇盛土工事 | 2月10日 | 3月26日 | 2月,3月 | (注1)1か月 |
〇〇ビル コンクリート工事 | 4月3日 | 6月17日 | 4,5,6,月 | 3か月 |
〇〇様邸大工工事 | 7月1日 | 8月19日 | 7月,8月 | (注2)除外 |
〇〇ビル鉄骨組立工事 | 9月2日 | 10月12日 | 9月,10月 | 2か月 |
〇〇足場架設工事 | 11月7日 | 11月7日 | 11月 | (注3)1か月 |
〇〇様邸外構工事 | 12月11日 | 12月19日 | 12月 | 1か月 |
合計 | 10か月 |
(注1)2月分が重複しているので、3月分のみをカウント
(注2)とび・土工・コンクリート工事に該当しないので除外
(注3)作業は1日だけでも1か月としてカウント
ご覧の通り、そんなに難しくなはないです。
工期の長いものを選んで記載すると、記載量を減らせます。
また、業種が明確にわかる工事名のものを選ぶと、疑義が出づらいです。
工事名から業種がわかりづらい場合、工事名の横に括弧書きで
「○○ビル△△工事(とび・土工)」と追記することもできます。
3.複数業種の実務経験(12年以上の実務経験)
許可を受けたい業種で8年以上の経験があれば、その他の業種の経験を加算できます。
関連する業種の経験しか加算できませんが、合計で12年以上になれば、要件をみたします。
許可を受けようとする建設業 | 加算できる実務経験 |
大工工事業 | ① 建築工事業及び大工工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、大工工事業について8年を超える実務経験を有する者 ② 大工工事業及び内装仕上工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、大工工事業について8年超える実務経験を有する者 |
とび・土工工事業 | ① 土木工事業及びとび・土工工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、とび・土工工事業について8年を超える実務経験を有する者 ② とび・土工工事業及び解体工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、とび・土工工事業について8年を超える実務経験を有する者 |
屋根工事業 | 建築工事業及び屋根工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、屋根工事業について8年を超える実務経験を有する者 |
しゅんせつ工事業 | 土木工事業及びしゅんせつ工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、しゅんせつ工事業について8年を超える実務経験を有する者 |
ガラス工事業 | 建築工事業及びガラス工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、ガラス工事業について8年を超える実務経験を有する者 |
防水工事業 | 建築工事業及び防水工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、防水工事業について8年を超える実務経験を有する者 |
内装仕上工事業 | ① 建築工事業及び内装仕上工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、内装仕上工事業について8年を超える実務経験を有する者 ② 大工工事業及び内装仕上工事業について8年を超える実務経験を有する者 |
熱絶縁工事業 | 建築工事業及び熱絶縁工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、熱断熱工事業について8年を超える実務経験を有する者 |
水道施設工事業 | 土木工事業及び水道施設工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、水道施設工事業について8年を超える実務経験を有する者 |
解体工事業 | ① 土木工事業及び解体工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、解体工事業について8年を超える実務経験を有する者 ② 建築工事業及び解体工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、解体工事業について8年を超える実務経験を有する者 ③ とび・土工工事業及び解体工事業について12年以上の実務経験を有する者のうち、解体工事業について8年を超える実務経験を有する者 |
引用:茨城県「建設業許可の手引き」令和3年7月1日以降版
4.確認資料の提出が必要になる場合(茨城県版)
10年の実務経験証明書を申請書に添付する場合、今までのところ、確認資料の提出を求められたことはありません。証明者が押印した「実務経験証明書」1枚を提出するだけです。
しかし、令和4年4月1日以降は雲行きが変わってきました。
“確認資料を求められることが増えた”と噂されています。
許可の手引きには「記載内容に疑義がある場合には、確認資料の提出を求める場合がある」と書かれています。
記載内容に疑義がある場合とは、以下の通りです。
- 自己証明の場合
- 記載された実務経験と証明する業種に齟齬がある場合
- 他の申請書類の内容と齟齬がある場合
- 申請日前10年以上にわたって実務経験がない場合
- その他審査者が記載内容に疑義を認めた場合
自己証明のケースはかなりありますので、提出を求められる機会が増えるのも納得です。
提出可能で適切な裏付け資料に基づいて作成しましょう。
5.実務経験では専任技術者になれない業種
電気工事・消防設備工事については、10年の実務経験があっても専任技術者になることができません。無資格でこれらの工事に携わることは違法なので、実務経験があってはおかしいからです。
特定建設業許可における指定建設業(土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園)も実務経験で専任技術者になることはできません。指定建設業は施行の難易度が極めて高くなることがあり、社会的責任も大きいことから、国家資格者でなければ専任技術者になれません。
10年の実務経験証明書を作成するには、過去の工事請負契約書等を大量に引っ張り出す必要があります。“これなら試験を受けて資格を取った方がマシ”と思うほど手間がかかるかもしれません。
正直なところ、実務経験の証明より、資格取得をお勧めします。
建設業許可|10年の実務経験の数え方
茨城県稲敷郡阿見町の金田一行政書士事務所
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