民法|未成年でも取消せない法律行為

query_builder 2021/10/04
blog:民法
いらすとや 家族会議

契約時に未成年であれば、その法律行為は取消せるかもしれません。

しかし、取消せない場合もあります。


未成年の法律行為、それが取消せない場合について解説します。


民法の改正により、2022年4月1日から成年年齢が現行の20歳から18歳に引き下げになります。その点にはご注意ください。


目次
1.未成年でも単独で可能な法律行為
 ①単に権利得、又は義務を免れる行為
 ②目的を定めて処分を許した財産
 
 ③目的を定めないで処分を許した財産
 ④身分行為
 ⑤取消権の行使
 ⑥許可された営業

2.法定代理人の取消権
3.取消の効果
4.取消ができない場合
 ①追認をした場合
 ②婚姻した経験(成年擬制)
 ③詐術を用いた場合
 ④取消権の時効消滅



1.未成年でも単独で可能な法律行為


未成年が法律行為をするには、法定代理人の同意が必要です(民法5条1項)。

同意がない場合、取消すことができます(5条2項、120条1項)。


ただし、未成年が単独でできる法律行為もあります。

その法律行為は、そのまま確定します。

この場合、取消ができません。


①「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」(民法5条1項但書)

未成年者が誰かに物をもらう、義務から解放される。

そのような場合、未成年者に不利益はありません。

そのため、未成年者でも単独で可能です。


“義務から解放される”とは、契約の解除。

例えば「口頭での贈与契約」です。


贈与契約は口頭でも可能です(民法550条)。

『これあげるよ』と気軽に言ってしまった場合でも、これは立派な贈与契約です。


ただし、口頭でした贈与契約は、贈与する前であれば一方的に解除できます。

『ゴメン、やっぱあれなしで。』と伝えれば解除です。


ちなみに、書面でした贈与契約は一方的な解除ができません(550条の反対解釈)。



②目的を定めて処分を許した財産(5条3項)

「その目的の範囲内」で使うことができます。『参考書を買いなさい』と渡されたお金で参考書を買うような場合です。では、そのお金で漫画を買ってしまったら...まずは事情を説明し、返品を受け付けてもらいましょう。



③目的を定めないで処分を許した財産(5条3項)

毎月のお小遣いなどです。自由に遣わせてあげてください。

とはいえ、『なんでそんな物買ったの?』となることも多いと思います。

しかし、お小遣いとして渡した以上、契約の取消しは難しくなります。

(金額や使い途にもよりますが)


未成年者の取消権とは別の話になりますが、相手が詐欺や強迫的手段を用いた。

勘違い(錯誤)があった。そのような場合も取消すことが可能です(96条1項、95条)。


また、特定商取引法や消費者契約法による保護を受けられる場合もあります。


「未成年であることを理由とした取消し」だけが打開策ではありません。

いろいろ検討してみてください。


②,③のように“既に支払ってしまった”ケースでは、取消せないことが多いです。お金を所持しているなら、その背景に法定代理人の同意があるはずだからです。未成年の取消権が活躍するのは、まだ契約をしただけで、支払いをしていない段階といえるかもしれません。



④身分行為

子の認知、氏の変更といった身分行為は、法定代理人の同意を要しません。

また、15歳に達していれば、遺言をすることができます(民法951条)。

ちなみに、臓器提供に関する意思表示が15歳から有効とされるのは、この民法951条をベースにしているからです。



⑤取消権の行使

法律行為の取消は、未成年者自ら行うこともできます(民法120条1項)。

なお、あとから親が出てきて『その取消しを取消します。』は混乱が拡大するので不可です。未成年者がした取消がそのまま確定します。



⑥許可された営業(6条1項)

未成年であっても、ビジネスをしているなら、そのビジネスに関して法定代理人の同意は不要です。



2.法定代理人の取消権


未成年者の法定代理人となるのは、原則として親権者です。


法定代理人(親権者)は、未成年者の法律行為に関する代理権、同意見、追認権、取消権を有しています。


親権者がいないとき、また親権者が管理権を有しないときは、未成年後見人が法定代理人となります(838条1項)。

※「管理権を有しないとき」とは、親権の濫用などにより家庭裁判所によって管理権喪失の審判を受けた場合のことです(民法835条)。


共同親権の場合、未成年者が法律行為をするには父母双方の同意が必要です(民法818条3項)。ただし、この規定はあまり機能していません。父母のどちらか一方の同意でも、有効な同意とみなされるのが一般的です。



3.取消の効果


取消しをすると、初めから契約は無効だったことになります(121条)。


代金支払の義務はなくなり、支払ったお金は返還を請求できます。


逆に、未成年者が何等かの利益を既に受けていた場合、

「現に利益を受けている限度」返還することになります(121条の2第3項)。


「現に利益を受けている限度」とは、受けた利益がそのまま、もしくは形を変えて残っていることを意味します。現存利益(現受利益)と呼ばれます。


食べ物を食べてしまったなら、現存利益はありません。

受け取った物があるなら、それは返還します。


少々複雑になるのは、お金を受け取り、それを使ってしまった場合です。


生活費に充てたり借金を返済した場合には現存利益あり、ギャンブルで浪費したなら現存利益なしとされます。(未成年にはあまり関係ないですね)


なお、取消しの意思表示は口頭で可能です。

意思表示を明確にしたい場合は書面で通知してください。


blog:内容証明郵便|未成年者取消権の行使



4.取消ができない場合


①追認をした場合(122条)


法定代理人及び成人に達した未成年者は、当該法律行為の有効性を認めることができます。これを追認と呼びます。


追認をすると、当該契約は確定的に有効になり、以後は取消すことができません。


『追認します』と意思表示した場合に限らず、追認を思わせる一定の行為をしただけでも追認となります。ご注意ください。代金の支払い・請求などです(法定追認:民法125条)。


相手方の催告権(20条2項)
未成年者と取引等をした相手は、1か月以上の期間を設定したうえで、「追認するか否か」を法定代理人に対して問うことができます。この催告を無視すると追認したことになってしまうので、無視しないでください。なお、未成年者のみに向けられ、法定代理人に伝わっていない催告は意味がありません。



②未成年者に婚姻の経験がある場合(753条)


婚姻すると、民法上の権利義務に関しては、成人と同様に扱われます。

結婚生活でいちいち親の同意を求めるわけにはいかないからです。


婚姻後は、未成年であることを理由とした取消はできなくなります。

これを成年擬制といいます。


成年擬制の効果は、その後に離婚しても消えません。



③未成年者が詐術(さじゅつ)を用いた場合(21条)


詐術とは、未成年者が自分は成年だと偽ること、親の同意があったと偽ることです。


未成年者の取消権は、未成年を保護するためのルールです。

未成年者自身が不道徳な手段を使うのであれば、この保護は受けられません。

ただし、何が「詐術」にあたるかは難しいところです。


『そちらのお子さんが、こんなとを言ってた』

『これは詐術だ』


相手方がそんな主張してきた場合、法律の専門家に相談することをお勧めします。


blog:未成年者の詐術【ゲームの課金トラブル】

blog:未成年者の詐術を指摘する文例



④取消権の時効消滅(民法126条)


法定代理人の取消権は、「追認をすることができる時から」5年で消滅します。


具体的には、未成年者が当該法律行為をしたことを法定代理人が知ってから5年です。

知らない場合でも20年間で消滅します。


未成年者自身の取消権は、成年に達してから5年で消滅します。

ただし、法定代理人の取消権が消滅した場合、それと同時に未成年者の取消権も消滅します。




未成年者としての取消権を行使する場合、まずは「取消せない場合」に該当しないかを確認してください。該当しないなら取消しができる可能性があります。


未成年者の取消権が行使できない場合、詐欺(96条)・強迫(96条)・錯誤(95条)、特定商取引法や消費者契約法の観点からの検討もしてみてください。




民法|未成年でも取消せない法律行為

茨城県稲敷郡阿見町の金田一行政書士事務所

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