内容証明郵便|未成年者の詐術を指摘する文例
今回は後編です。
⇒前編 内容証明郵便|未成年者取消の文例
未成年者取消権を行使された楽器店が、これに対する反論として「未成年者の詐術」を主張する内容証明郵便の文例です。
設例(成人年齢引き下げ後、2023年の出来事として構成しています。)
アコギが好きな高校3年生の大林涼君(17歳)は、どうしても欲しいギターがありました。 お金がなく、購入は断念せざるを得ないはずでしたが「ショッピングクレジット」を利用することで、憧れのギター手に入れました。(令和5年5月31日) 未成年はショッピングクレジットの利用対象外でしたが、あと3カ月で成人する大林涼君は、①成人であると偽り、②申込書に虚偽の生年月日を記入し、売買契約を強引に成立させました。 高校の制服を着ていたので、店員が年齢を再三確認しましたが、お客様を疑い続けるわけにもいかず、押し切られています。 |
設例の解説
ショッピングクレジット
高校生の場合、①審査が通らない、②保証人が必要、③そもそも利用対象外、とされるのが一般的です。成人年齢が引き下げられてもこの運用が続くような気がしますが、“成人年齢を引き下げても何も変わらないじゃん”といった批判もありそうなので、今後どうなるかはわかりません。
未成年者の詐術(民法21条)
未成年が、①年齢を偽り成年だと主張する、②法定代理人の同意を得たと偽る。
そのような方法で相手を騙し、取引・契約を成立させた場合、制裁として取消権の行使が否定されます。
設例の場合、「①成人であると偽る」ぐらいならまだしも、お店側に再三確認されても成人であると主張したようなので、心証がよろしくありません。また、「②申込書に虚偽の生年月日を記入」したのは更にマズイです。
一方、高校の制服を着ていたので、お店側としても「公的な書類等で年齢を確認する」「自宅に電話で確認」などの対応を取るべきだったかもしれません。本設例の事情が「詐術」に該当するのか、情報が足りないので断定は控えます。
| 設例の事情だと「詐術」が肯定されやすそうですが、『見た目が幼い』『言ってることが明らかにデタラメ』といった事情がある場合、「いやいや、いい大人が騙されちゃだめでしょ。」と詐術を否定する方向に傾きます。 |
文例
伝えるべきことは伝えますが、お客様が相手なので表現をソフトにしています。納得したうえで取消権を撤回してもらうのが目的です。(楽器店の店長さんですから、憧れの楽器に夢中になる気持ちもわかるはずです。法律論はともかく、“君の気持ちはよくわかるよ”をベースにしました。できることなら、このまま常連になって頂きたい)
内容証明郵便を受け取った大林家
父:どうしても欲しい気持ちはわかるけど、嘘はよくないな。
息子:ごめんなさい。
父:取消しは難しそうだし、店長さんの言うとおり、大事に弾いていくしかないな。
迷惑かけちゃったし、ABBEY ROADさんに謝りに行こう。
息子:はい
父:それと、トミエマもいいけど、お父さんはエリック・クラプトンが好きだ。
次に買うなら“Martin”にしなさい。
息子:それは...ちょっと、僕のプレイスタイル的には...
まぁ、めでたし、めでたし、ということで。
参考文献:みらい総合法律事務所 編著「応用自在! 内容証明作成のテクニック」(日本法令)
登場する人物・団体は、実在の人物・団体とは関係ありません
内容証明郵便|未成年者の詐術
茨城県稲敷郡阿見町の金田一行政書士事務所
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