建設業許可|500万円の財産要件と“見せ金”について考える。

query_builder 2021/10/07
blog:建設業許可
札束 透過

新規で一般建設業許可を取得する場合、①500万円の自己資本額または②500万円の資金調達能力が必要になります。一定の財産的基礎又は金銭的信用(以下、財産的基礎等)を有していることが許可の要件だからです。


「②500万円の資金調達能力」ルートで財産的基礎等を証明する場合、銀行に残高証明書を発行してもらうことになります。  


そこで問題となるのが“その500万円は見せ金でいいのか?”です。 


結論から申し上げるとOK...というより、資金の出処について関知されないだけです。


私はあまりお勧めしません。


“見せ金”は、財産的基礎等を要求した趣旨に反することが明らかだからです。    


目次
1.見せ金とは
2.財産的基礎が要求される理由
3.それ“見せ金”じゃないです。
4.“抜け道”“裏ワザ”に期待しないでください。


1.見せ金とは  


見せ金(みせがね)とは、“取引などで信用を得るために相手に見せるお金”のことです。  


法律的に問題となるのは、株式会社を設立する際の払込金です。  


借りてきた金銭を株式の払い込みに充て、会社設立後に引き出し、すぐに全額返済します。会社には何も残りません。  


株式に対する払い込み、すなわち資本金は、営業活動の財産的基盤です。

取引先からしてみれば、信頼の対象となります。  


したがって、現実に資金が確保されていなければ意味がありません。

(手付かずで残すという意味ではありません) 


裁判所も、『単に外見上株式払い込みの形式こそ備えているが、実質的には到底払い込みがあったものとは解し得ず、払込としての効力を有しないものといわねばならない。』と述べ、見せ金を無効としています。(最判38.12.6民集17巻12号1633頁)  


※仮装払込みの有効性については議論のあるところですが、ひとまず置いておきます。  



2.財産的基礎等が要求される理由  


財産的基礎等が要求される理由は、会社設立の場合とさほど変わりません。    


建設工事を施工するにあたり必要となる資材・機械器具を購入するための資金、社員に支払う賃金、下請業者に支払う請負代金、それらを十分に確保できるだけの財務力がなければ、事業を継続できないからです。


工事の途中で倒産してしまえば、発注者が損害を被ります。

そのようなことがないよう、財産的基礎等が要求されています。


“見せ金”を使って審査をすり抜けた業者が、発注者や下請業者に迷惑をかけたら...


そう考えると、とてもお勧めできる手段ではありません。    



3.それ“見せ金”じゃないです。


見せ金は「まったく中身の無い、ただ見せるためだけのお金」です。  


お金を貸してもらい、消費し、その後に返済する約束をしたなら話が違います。

「あの人ならきちんと返してくれるはず」という信頼が根底にあるからです。

金銭的信用力又は資金調達能力があると言えます。  


そのお金がなぜ預金口座に存在するのか、その理由次第では“見せ金”ではありません。      


まとまった入金があり、預金残高が500万円を超えたタイミングで残高証明書を発行する。金融機関から融資を受ける。事業を継続してきた成果であり、信用が根底にあります。何も問題ありません。


親や兄弟から借りる場合、家族としての信頼が根底にあります。

金額・返済までの期間にもよりますが、相手が家族であることを考慮すると、通常は問題視するほどではありません。


どうもこの“見せ金OK?問題”で語られている「見せ金」。

その多くは、見せ金ではなさそうです。


わざわざ際どい呼び方をして、“ちょいワル”感を出すのはやめましょう。



4.“抜け道” “裏ワザ”に期待しないでください。


多額の資金を「一瞬だけ貸して」は、資金調達能力とはいえません。

これは“見せ金”です。少なくともグレーな手段です。


“抜け道” “裏ワザ“のような扱いで、おおっぴらに語られていることに少々驚きます。


建設業許可関係のキーワードと「抜け道」「裏ワザ」を結び付けた検索が多いみたいですが、そんなものはありません。


許認可の根拠となる法令は、熟慮と精査を重ねたうえ、すべて公表されているからです。

常にメインストリート、表通り。“抜け”も“ウラ”もありません。


大袈裟にそう呼ばれることもあります。

しかし、法律の世界で使うには、いささか違和感のある表現です。


そんなモノに期待せず、真っ当に行きましょう。



建設業許可|500万円と見せ金について考える。|金田一行政書士事務所

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