建設業許可|500万円の財産要件と“見せ金”について考える。
新規で一般建設業許可を取得する場合、①500万円の自己資本額または②500万円の資金調達能力が必要になります。一定の財産的基礎又は金銭的信用(以下、財産的基礎等)を有していることが許可の要件だからです。
「②500万円の資金調達能力」ルートで財産的基礎等を証明する場合、銀行に残高証明書を発行してもらうことになります。
この点に関し、“500万円は見せ金でもOK”という怪情報をしばしば目にします。500万円の出処については関知されませんので、まぁ、そうかもしれませんが、「見せ金」と呼ぶのは正確でも適切でもないことが多いようです。
| 目次 1.見せ金とは 2.財産的基礎が要求される理由 3.それ“見せ金”じゃないです。 4.“抜け道”や“裏ワザ”に期待しないでください。 |
1.見せ金とは
見せ金(みせがね)とは、“取引などで信用を得るために相手に見せるお金”のことです。
法律的に問題になる顕著な例としては、株式会社を設立する際の払込金です。
借りてきた金銭を株式の払い込みに充て、会社設立後に全額を引き出し、すぐに返済します。会社には何も残りません。
株式に対する払い込み、すなわち資本金は、営業活動の財産的基盤です。
取引先からしてみれば信頼の対象となります。
したがって、現実に資金が確保されていなければ意味がありません。
(手付かずで残すという意味ではありません)
裁判所も、『単に外見上株式払い込みの形式こそ備えているが、実質的には到底払い込みがあったものとは解し得ず、払込としての効力を有しないものといわねばならない。』と述べ、見せ金を無効としています。(最判38.12.6民集17巻12号1633頁)
※仮装払込みの有効性については議論のあるところですが、ひとまず置いておきます。
法律の世界では「見せ金」を肯定的に捉えません。
見せ金は、見せ金であるだけでアウトです。OKではないです。
2.財産的基礎等が要求される理由
建設業許可の要件として「財産的基礎等」が要求される理由は、会社設立の場合とさほど変わりません。
建設工事を施工するにあたり必要となる資材・機械器具を購入するための資金、社員に支払う賃金、下請業者に支払う請負代金、それらを十分に確保できるだけの財務力がなければ、事業を継続できないからです。
工事の途中で倒産してしまうと発注者が損害を被ります。
そのようなことがないよう、財産的基礎等が要求されています。
3.それ“見せ金”じゃないです。
見せ金は「まったく中身の無い、ただ見せるためだけのお金」です。
お金を貸してもらい、消費し、その後に返済する約束をしたなら話が違います。
「あの人ならきちんと返してくれるはず」という信頼が根底にあるからです。
金銭的信用力又は資金調達能力があると言えます。
そのお金がなぜ預金口座に存在するのか、その理由次第では“見せ金”ではありません。
まとまった入金があり、預金残高が500万円を超えたタイミングで残高証明書を発行する。金融機関から融資を受ける。事業を継続してきた成果であり、信用が根底にあります。何も問題ありません。
どうもこの“見せ金OK?問題”で語られている「見せ金」
その多くは、見せ金ではなさそうです。
わざわざ際どい呼び方をして、“ちょいワル”感を出すのはやめましょう。
苦労して取得した建設業許可、事業の大事なスタート
不道徳な言葉で汚す必要はありません。
4.“抜け道” や“裏ワザ”に期待しないでください。
建設業許可関係のキーワードと「抜け道」「裏ワザ」を結び付けた検索が多いですが、そんなものは無いです。
大袈裟にそう呼ばれることもありますが、ルール内での手段・選択肢のひとつにすぎません。
許認可の根拠となる法令は、熟慮と精査を重ねたうえ、すべて公表されています。
“抜け”も“裏”もありません。
建設業許可|500万円と見せ金について考える。
茨城県稲敷郡阿見町の金田一行政書士事務所
NEW
-
query_builder 2024/03/10
-
阿見町が市になる?:「住所が変わると...」
query_builder 2024/03/03 -
阿見町が市になる?:「おおむね」ってどれくらい?
query_builder 2024/02/24 -
戸籍法|本籍地以外でも戸籍の取得が可能に(広域交付制度)
query_builder 2024/02/17 -
民法|越境した木の切除
query_builder 2024/02/09