民法|法定利率に変動制が導入されました。

query_builder 2021/09/09
blog:民法
いらすとや 変動

従来、法定利率は5%で固定されていました。


今後は市場の動向にあわせて変動します。


3%から開始され、3年ごとに見直しがされます。


目次
1.法定利率と約定利率
2.法定利率の適用場面
3.変動制の内容
4.法定利率が適用される基準時
5.中間利息控除への適用


1.法定利率と約定利率


利息を受け取るには、その旨の定めを必要とするのが原則です。


利息を受け取る割合について当事者で決めた割合を「約定利率」と言います。

約定利率を定めていない場合、法律で割合を決められた「法定利率」が適用されます


約定利率が定められている場合には、約定利率が優先します。


[法定利息と約定利息]
似たような言葉に「法定利息」と「約定利息」があります。“率”ではなく“息”です。利率を決める前提となる利息の発生原因に関する用語です。法律により発生する利息なら「法定利息」。契約により発生する利息なら「約定利息」。では利率は何%か?という順序で考えます。



2.法定利率が適用される場面


法定利率より約定利率が優先します。

したがって、法定利率が適用されるのは、約定利率が定められていない場です。


法定利率の変動に振り回されたくない場合、あらかじめ約定利率または遅延損害利率を設定しておくことで対処できます。


しかし、不法行為による損害賠償のように、不意に起こる事態については事前に設定することができません。これらの場合には法定利率が適用されます。



3.変動制の内容


[改正の背景]

法定利率を固定すると、市場金利と法定利率が乖離することがありました。


そこで、市場の動向にあわせて法定利率を変動させ、かつ、将来の予測が十分可能な合理的な仕組みを創設するのが法改正の目的です。変動するといっても頻繁に急激な変動が起こるわけではなく、緩やかに変動する仕組みが採用されています。


また、6%とされていた商事法定利率は廃止され、本制度に一本化されました。


なお、令和2年4月1日より前に発生していた利息については,改正前の利率(5%)が適用されます(改正民法附則15条1項)。


[変動制の仕組み]

日銀が毎月公表している「貸出約定平均金利」の過去5年間の平均値(基準割合)が指標となります。この数値に前回の変動時と比較して1%以上の変動があった場合にのみ、その変動分が加算または減算され法定利率が変動します。


この見直しは3年ごとなので、頻繁に変動するわけではありません。

また、前期と当期の基準割合の差のうち1%未満は切り捨てられます。

したがって、法定利率は必ず整数になります。


なお、改正法の施行が2020年4月なので、2023年までの3年間は変動しません。


※計算方法の詳細が知りたい方は民法404条をご参照ください。

※「貸出約定平均金利」については⇒日本銀行HP:貸出約定平均金利



4.法定利率が適用される基準時


適用される法定利率は「利息が生じた最初の時点の法定利率」です(民法404条1項)。利息が生じた最初の時点」とは、利息を支払う日ではなく、利息が発生した時点を意味します。


1つの債権については1つの法定利率が適用されます。

事後的に変動することはなく、再計算の必要はありません。



5.中間利息控除への適用


「中間利息控除」とは、債務不履行・不法行為等による損害賠償において被害者の逸失利益を算定するにあたり、将来得たであろう収入から運用益を控除することです。


お金はお金を産みだします。

損害賠償として将来の分まで受け取ったなら、それで得られる利益が差し引かれます。


中間利息控除に法定利率を適用することは、従来から認められていました(最判平成17.6.14)。改正によりこれが明文化されています(417条の2、722条1項)。


中間利息控除は、法定利率が変わることにより大きな影響を受けます。


例えば、交通事故の可能性は誰にでもあります。

被害者か加害者かは別として、すべての人に関係のある話です。



[中間利息控除の具体例]

今後20年間で1億5000万円を稼ぐ見込みがあったとします。交通事故でその可能性を失い、損害賠償として1億5000万円を受け取る。上手く運用すれば利益を出すことができます。


これでは「もらいすぎ」になってしまうので、それを調整するのが中間利息の控除です。運用するかしないかは無関係です。“お金がお金を産む”という金銭の性質上、公平性を保つためにはやむを得ません。


中間利息が控除されると、被害者が受け取れる賠償額は減ります。👇


しかし、従来の法定利率は5%でしたが、現在は3%です。

そうすると、控除される額は少なくなります。


したがって、被害者の受け取る金額は従来の計算方法よりも増えます。👆


反面、請求できる遅延損害金は減ります(事故発生から支払までの遅延損害金)。👇


新旧どちらの仕組みが得かはケースバイケースです。🤔




参考資料:法務省民事局「民法(債権関係)の改正に関する説明資料」


民法|法定利率に変動制を導入|金田一行政書士事務所

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