民法|業務委託契約を理解するための視点

query_builder 2021/09/21
blog:民法
いらすとや 宅配サービス

2022.1.2 更新


今流行りのUber Eatsの配達員さんは、Uber社の社員でもアルバイトでもなく、Uber社と業務委託契約を締結している個人事業主です。


2022.1.2追記
配達員さん達が結成したユニオンが、運営会社に対して団体交渉に応じるよう求めています。団体交渉権は労働基準法で認められた「労働者」の権利です。したがって、個人事業主に『労働者性』が認められるか否かが大きな争点となります。本記事でも触れている“業務委託契約の曖昧さ”が生んだトラブルであるように思います。今後の流れに注目です。


ところで、民法の中に「業務委託契約」という言葉は存在しません。


業務委託契約は、請負契約・委任契約・準委任契約の総称またはその複合形態”

というのが実態です。


これらの区別は付けづらいですが、区別するための視点を解説します。


実際には明確な区別はできないことが多いです。各契約類型の違いを理解し、契約書のなかに、どの契約類型のどんな要素が盛り込まれているか確認してください。すべては契約の内容次第です。


※「Uber EATS」はUberの登録商標です


目次
1.3つの契約類型の違い
2.請負契約
3.委任契約

4.準委任契約
5.
まとめ

 Eats



1.3つの契約類型の違い



請負契約 委任契約準委任契約
契約の目的 仕事の完成 法律事務の遂行事実行為の遂行
報酬の対象 成果物と引き換え 業務遂行業務遂行
委託者の指揮命令権 なし なしなし


3つのうちどの契約類型にも委託者の指揮命令権はありません。

指揮命令権があるとすれば、それは「労働者派遣」または「雇用契約」です。


請負・委任・準委任であるにもかかわらず、業務遂行に関して委託者側が指揮命令をしている場合、雇用契約とみなされます。いわゆる偽装請負です。


それぞれの特徴を以下で解説していきます



2.請負契約


請負契約とは、当事者の一方(請負人)が、ある仕事を完成させることを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことによって成立する契約です(民法632条)


「仕事を完成させること」が目的とされていることがポイントです。

仕事を完成させないと報酬を請求できません(民法633条)。


※仕事の完成前に請負契約が解除された場合、完成した部分についての報酬を請求できる場合があります(634条)。

※注文者側の事情で仕事が完成できない場合、報酬全額を請求することができます(536条2項)。


[請負契約が締結されることの多い職業]

建設工事関係、プログラマー、デザイナー、ライター、イラストレーターなど、


例外もありますが、何等かの成果・成果物が要求される職業です。成果が出ることにより「仕事を完成させた」ということができます。


製作物供給契約
仕事の完成を目的とした請負契約に加え、制作物の所有権を移転するという売買契約の側面を有します。請負契約と売買契約(民法555条~585条)双方の条文が適用されます。両者の境界は曖昧ですが、オーダーメイド品の制作などが該当します。建物の場合、所有権は完成後に注文者に移転するのが当然なので、製作物供給契約には該当しません。



3.委任契約


委任契約とは、 当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生じる契約です(民法643条)


「法律行為をすること」が契約の内容になっていることがポイントで、行政書士など、法律系の士業が依頼者と締結する委任契約が典型例です。


委任された法律行為を行えば、それで契約内容を履行したことになります。

結果(成果)が要求されていないので、業務遂行の「割合」に従って報酬を請求できます(民法648条2項)。


請負契約の場合、「仕事の完成」が目的になっており、そこには一定のクオリティに達した成果が必要になります。しかし、委任契約においては成果が要求されていません。ただ決められた行為をすれば報酬が発生します。


成果完成型報酬型(民法648条の2)
成果が達成されて初めて報酬が請求できるタイプの委任契約です。請負契約に近い契約になります。
委任契約を締結する場合、これが暗黙の了解になってることが多いので、改正民法で規定されるに至りました。


タイムチャージ型
業務に従事した時間を基準に報酬を請求するタイプの委任契約です。凄腕の弁護士さんなんかはこのタイプの委任契約を締結したりします。委託者側が勤務時間や勤務日を決めてしまうと雇用契約と変わらなくなるので、そこは受託者に任せるしかありません。信頼できる受託者でないとぼったくられます。



4.準委任契約


準委任契約とは、法律行為でない事務の委託をいいます(民法656条)。

法律行為ではない事実行為の事務委託であることが特徴です。


準委任契約と委任契約を区別せず、まとめて「委任契約」と呼ぶことも多いです。法的には異なる契約類型ですが、区別する実益があまりないからです。


法律行為の事務を委託するケースは限られますが、事実行為の事務委託の場面はとても多いです。医師の診察、受付事務、美容師・エステティシャンの施術、講演、広告宣伝業務、研究・調査など、数え切れません。


契約の目的が事実行為の事務委託である点以外は、委任契約と同様です。業務の遂行が目的であり、成果を求められません。


成果が要求されないというより、成果に幅があるので明確なゴールを決めづらいとも言えそうです。


また、受任者の能力・手腕に任せる部分が多い点も特徴です。



5.まとめ


委任・準委任と請負の違いは明確ではありません。委任された業務の内容・報酬の支払基準によっては区別ができないこともあります。そんな場合に用いられるのが『業務委託契約』と思ってよいかもしれません。


ただし、そんなものだと諦めて、なんでもかんでも曖昧にするのは良くありません。相手がズルい人なら思うつぼです。


その契約の、その条項が、請負をベースにしているのか、委任をベースにしているのか。

業務内容は?、報酬の支払い基準は?どんな責任が生じる?大事な所はもちろん、細部まで曖昧さを残してはいけません。


曖昧さを背景に、偽装請負やりがい搾取の温床にもなっているのが「業務委託契約」です。その点にご留意してください。




民法|業務委託契約を理解するための視点

茨城県稲敷郡阿見町の金田一行政書士事務所

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