民法|業務委託契約を理解するための視点

query_builder 2021/09/21
blog:民法
いらすとや 宅配サービス

今流行りのUber Eatsの配達員さんは、Uber社の社員でもアルバイトでもなく、Uber社と業務委託契約を締結している個人事業主です。


ところで、民法の中に「業務委託契約」という言葉は存在しません。


業務委託契約は請負契約・委任契約・準委任契約の総称またはその複合形態”というのが実態です。


これらの区別は付けづらいですが、区別するための視点を解説します。


実際には明確な区別はできないことが多いです。各契約類型の違いを理解し、契約書のなかに、どの契約類型のどんな要素が盛り込まれているか確認してください。すべては契約の内容次第です。


※「Uber EATS」はUberの登録商標です


目次
1.3つの契約類型の違い
2.請負契約
3.委任契約

4.準委任契約
5.Uber 
Eats配達員さんを例に考察

 Eats



1.3つの契約類型の違い



請負契約 委任契約準委任契約
契約の目的 仕事の完成 法律事務の遂行事実行為の遂行
報酬の対象 成果物と引き換え 業務遂行業務遂行
委託者の指揮命令権 なし なしなし


3つのうちどの契約類型にも委託者の指揮命令権はありません。

指揮命令権があると、雇用契約とみなされる場合があります。いわゆる偽装請負です。



それぞれの特徴を以下で解説していきます



2.請負契約


請負契約とは、当事者の一方(請負人)が、ある仕事を完成させることを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことによって成立する契約です(民法632条)


「仕事を完成させること」が目的とされていることがポイントです。

仕事を完成させないと報酬を請求できません(民法633条。

※実社会では、一部前払い制になっていることも多いです。


[請負契約が締結されることの多い職業]

建設工事関係、プログラマー、デザイナー、ライター、イラストレーターなど、


例外もありますが、何等かの成果・成果物が要求される職業です。成果が出ることにより「仕事を完成させた」ということができます。


製作物供給契約
仕事の完成を目的とした請負契約に加え、制作物の所有権を移転するという売買契約の側面を有します。請負契約と売買契約(民法555条~585条)双方の条文が適用されます。両者の境界は曖昧ですが、オーダーメイド品の制作などが該当します。建物の場合、所有権は完成後に注文者に移転するのが当然なので、製作物供給契約には該当しません。



3.委任契約


委任契約とは、 当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生じる契約です(民法643条)


「法律行為をすること」が契約の内容になっていることがポイントで、行政書士など、法律系の士業が依頼者と締結する委任契約が典型例です。


委任された法律行為を行えば、それで契約内容を履行したことになります。

それがどのような結果になったかは関係なく、業務を遂行した後ならば報酬を請求できます(民法648条2項)。


請負契約の場合、「仕事の完成」が目的になっており、そこには一定のクオリティに達した成果が必要になります。しかし、委任契約においては成果が要求されていません。ただ決められた行為をすれば報酬が発生します。


成果完成型報酬型(民法648条の2)
成果が達成されて初めて報酬が請求できるタイプの委任契約です。請負契約に近い契約になります。
委任契約を締結する場合、これが暗黙の了解になってることが多いので、改正民法で規定されるに至りました。


タイムチャージ型
業務の遂行後でなく、業務に従事した時間で報酬を請求するタイプの委任契約です。凄腕の弁護士さんなんかはこのタイプの委任契約を締結したりします。委託者側が勤務時間や勤務日を決めてしまうと雇用契約と変わらなくなるので、そこは受託者に任せるしかありません。信頼できる受託者でないとぼったくられます。



4.準委任契約


準委任契約とは、法律行為でない事務の委託をいいます(民法656条)。

法律行為ではない事実行為の事務委託であることが特徴です。


法律行為の事務を委託するケースは限られますが、事実行為の事務委託の場面はとても多いです。医師の診察、受付事務、美容師・エステティシャンの施術、講演、広告宣伝業務、研究・調査など、数え切れません。


契約の目的が事実行為の事務委託である点以外は、委任契約と同様です。業務の遂行が目的であり、成果を求められません。


成果が要求されないというより、成果に幅があるので明確なゴールを決めづらいとも言えそうです。



5.Uber Eatsの配達員さんを例に考察


以下の考察は、情報不足のため仮定的な要素を多く含んだ考察になっています。実際の契約内容とはおそらく合致しません。また、実際の契約内容を検証することを目的とはしておりません。


先述のように、Uber Eatsの配達員さんは社員でもアルバイトでもなく、個人事業主です。

各々の飲食店とも雇用関係にありません。


プラットッフォーマーが配達員と飲食店をマッチングすることで成り立つ「プラットフォーム型労働」と呼ばれる労働形態です。


雇用契約ではなく、業務委託契約で繋がっています。


[配達員さんの業務内容を確認]

①配達依頼を受ける

②配達する料理の受け取り

③指定された場所まで移動

④お客様に料理をお渡し

⑤完了報告(報酬請求)


[報酬の計算方法]

距離と時間で決まる基本料金と、時間帯や需要の多寡などで決まる配達調整金の合計から「サービス手数料」なるものを引いた額が報酬として支払われるようです。

(条件をみたすと報酬額がアップする仕組みもあるとのこと)


いろいろ調べてみましたが、新報酬体系が導入されて日が浅いということもあり、サイトによって説明の仕方や使う用語に違いがありました。働きたい方は、ご自身で最新情報を調べてください。


[報酬の支払い時期]

報酬の支払いは週に1回、日曜日締めで翌週の火曜日に支払われるようです。現金配達の場合なら商品代金から報酬を貰える仕組みとのこと


[請負契約、委任契約、準委任契約のうちどれに該当するか]


法律事務を取り扱っているわけではないので、委任契約でないことは確かです。


次に、準委任契約を検討してみると、契約の目的が「料理を届けること」の遂行だとすれば、届けられた料理がグチャグチャになっていたり、時間が大幅に遅れたりしてクレーム・支払拒否なっても、「料理を届ける」という業務は遂行しているので満額の報酬を受け取れそうです。(現実的ではないですが、準委任契約を原則通りにあてはめた場合です。)


それはおかしいので、請負契約ではないかと仮定した場合、何をもって「仕事の完成」というのでしょうか。


委託者であるUber社の求めることを推測すると、当該業務委託契約における「仕事の完成」とは、お客様の希望する場所・時間に、料理を適切な状態に保ったうえでお客様に料理をお渡しすることではないでしょうか。


そのように構成した方が、委託する側に有利です。

『ここまでやってくれないと「仕事の完成」とはいえませんので、報酬はお支払いしません。』と言えるからです。


ということで、配達員さんとUber社の間の業務委託契約の中身を法律的に分析すると、請負契約に区分されるのではないかと考えられます。かなり強引ですが、これを結論とさせて頂きます。



業務請負契約を締結する際は、契約内容を確認し、ご自身にどのような義務が発生するのか確認してください。



いろいろ調べてみたら、自由度が高くて面白そうな仕事でした。

若い頃ならチャレンジしてたかもしれません。

ただ、私の住むエリアはサービス対象外エリアです。

おそらくこれからもずっと...





民法|業務委託契約を理解するための視点|金田一行政書士事務所|

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