民法|時効制度の存在理由

query_builder 2021/08/06
blog:民法
いらすとや 時間どろぼう

民法には、一定期間の経過により借金がチャラになったり(消滅時効)、他人の物を自分の物にできたり(取得時効)する制度があります。


「この時効制度というやつは、なんだか不道徳では?」そんな疑問が当然生じます。


法律がそんな不道徳なことを後押しするわけはありませんので、もちろん理由があります。時効制度を正当化する根拠としては、次の3点が挙げられます。


【時効制度の根拠】

①長期間にわたり継続した事実状態の尊重及び法的安定性の確保(取引の安定性を確保)

長期間にわたり事実状態が継続すると、それを前提として法律関係が構築されていきます。これを覆してしまうと混乱が生じるので、時効制度を設けることで混乱を回避しようという考え方です。


②立証困難の救済(証拠の散逸)

年月が経過することにより、例えば弁済の証拠がなくなってしまった場合、弁済したことを証明できないので、この先も債務を負い続けることになりかねません。そのような「債務からの解放」が2つめの根拠です。


③「権利の上に眠る者は保護せず」

ある権利を行使できるのに、いつまでも行使しない。それならば、もう権利は行使させないという法格言です。


〖3つの根拠に対する批判〗

①に対しては、ある事実状態が継続されていても、それを前提に次の法律関係が構築されるとは限らず、それが当事者間の問題にすぎないのであれば、覆しても混乱は無いといえます。


②については、例として出されたのが「弁済したが証明できない」というケースであり、明らかに未弁済の場合まで救済する必要はないといえます。


③については、相手を気遣って権利行使を猶予している場合、その者は「権利の上に眠る者」ではないので、権利を消滅させてしまうのは酷です。



研究者の間では上述のような議論がされています。時効制度の存在そのものを否定するというよりは、なんとか理由を付けて肯定する方向での議論です。


結局のところ、3つの根拠を総合的に判断しつつ、場面ごとに「なぜ正当化されるのか」を考えることになります。


なんだか納得いかないかもしれませんが、そのような制度になっています。



参考文献:内田貴「民法Ⅰ」第4版  東京大学出版会


民法|時効制度の存在理由|金田一行政書士事務所

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